【H15.1】
Q3 通信教育/年齢
Q4 速記の需要/就職状況
Q5 速記とワープロ速記
Q6 普通文字での筆記速度

【H15.2】
Q7 速記者の人数/年収/就業時間

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Q3 通信教育/年齢
 ネットを眺めているうちに速記のことを詳しく説明していたサイトにたどり着いて強い興味を持ちました。勉強してみたいなと思ったのですが、何分、地方在住なもので学校や教室が近くありません。どうせなら、仕事に出来るまでのレベルになるまで勉強したいのですが、私個人の努力は無論として、通信教育でそこまでモノになるものでしょうか?
 それと私は今年30歳になるのですが、副業(3級ぐらい)を目標として勉強を始めるにはスタートラインが遅すぎるでしょうか?
 [H15.1]

A3 通信教育/年齢(ユー)
 速記に興味を持ってもらえたとのこと、大変うれしいです。
 さて、速記と年齢です。
 若い人ほど吸収力が速いのは事実ですが、私は、年齢よりも、速記を学んで物にしようという意欲の方が重要だと考えています。その点、○○さんは十分満たしていますし、年齢も、ことしで30歳と言えばまだ若いですから、大丈夫ですよ。
 通信教育で3級というのも、やはり意欲と根気によります。通信教育で5、6級しか取れない人もいれば、1級まで行く人もいます。また、その期間についても、その人の努力次第でまちまちです。
 なお、ある通信教育では、6カ月で「3〜4級合格を目標」とか「3〜4級に合格可能な速記文字を指導」とのうたい文句があったりするようですが、あくまでも「目標」「可能な文字を指導」であって、その人の頑張りようにもよります。ほとんどの人が「合格できる」わけではありませんので、ご注意ください。
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Q4 速記の需要/就職状況
 とても興味深くHPを見させていただきました。以前から速記を勉強してみたいと思っていたのですが、このHPを見てさらにその気持ちが強くなっています。できれば速記を仕事として行えるようにまでなりたいと考えており、速記専門学校への入学も現在考えています。
 そこで一番気になっていることなのですが、実際、速記士としての仕事の需要というのは多いのでしょうか?
 私は地方の者ですが、速記の仕事は地方よりも都市の方が多いのですか?
 専門学校卒業後、技能認定各級取得後は、概ねどのような就職状況なのでしょうか?
 [H15.1]

A4 速記の需要/就職状況(ユー)
 私のHPを見て速記の仕事を、そして専門学校への入校を考えられているとは、非常にうれしい反面、責任を感じてきますね。
 さて、質問ですが、私自身速記の仕事をしているものの民間速記者ではないので、的確な回答になるかどうかわかりません。その点、まずもってお断りしておきます。
1.速記の需要は多いか?
 高度情報化時代に入り、情報公開が叫ばれて会議記録の重要性が増しており、需要はむしろ以前に比べ多くなっています。
 そのほかにも講演・座談会・シンポジウム等の仕事もありますし、最近では、裁判所による器械速記者である速記官の養成が中止されましたので、手書き速記の速記会社へ委託されつつあります。
 なお、10年前には近畿速記士会というところで1時間当たり52,000円の速記料金表を作成していましたが、全国的にも速記者間で仕事の奪い合いをし始め、仕事をたくさん取って速記料金を半分または半分以下で請け負っているところが出てきています。速記の価値を落としているようで、非常に残念です。
2.速記の仕事は都市の方が多いか?
 やはり、需要の多い都市の方が仕事も多いでしょうね。
 でも、現在は都市と地方といった距離感がなくなりつつあります。というのも、例えばテープ依頼という形態もあり、依頼者と速記会社が宅配またはパソコンを利用してテープや原稿の受け渡しする依頼の仕方がふえてきているからです。それと同じ方法を速記会社と社員の速記者間でとることができますので、在宅勤務の募集をしているところもあります。
3.卒業後または資格取得後の就職状況は?
 昔は新聞社・議会・雑誌社等などが就職先として挙げられたのですが、現在は民間速記会社が多いでしょうか。
 以前、フリー速記者も多かったのですが、依頼者側が速記原稿の作成から印刷・製本、さらに会議録検索システムまで求められたり、納期の短縮を要求されたりするので、1人ではちょっとしんどいようです。
 また地方議会では、最近、速記者不足と人件費の削減で、民間速記会社へ委託する傾向にあります。
 しかし、議会速記でも国会は内部速記者によって会議録が作成されています。国会速記者になるには、衆議院・参議院それぞれの速記者養成所で勉強しなければなりません。なお、きょう(H15.1.14)の新聞報道によると、衆参速記養成所が統合に合意との記事がありました。
※平成16年9月の新聞では参議院速記者養成所が、また同年10月の新聞では衆議院速記者養成所が生徒募集を取りやめるとの報道がされました。
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Q5 速記とワープロ速記[1]
 速記とワープロ速記の違いとは何ですか?
 [H15.1]

A5 速記とワープロ速記[1](ユー)
 質問の「速記」と「ワープロ速記」の違いということですが、○○さんの言われるワープロ速記というのは、速記文字を反訳(普通文字に直すこと)するときにワープロで高速入力することを指しているのでしょうか?
 広義の速記というのは、速記文字で人の発言を記録し、それを反訳するまでの過程を指しますが、万年筆で1字1字原稿を埋めていたころは反訳に相当な時間がかかりました。それがワープロの出現により速く原稿が作成できるようになり、さらにワープロに速記者ならではの速記法を生かした略語を登録することによって一段と反訳時間の短縮を図ることができるようになりました。それを「高速入力」と言っています。
 速記法を生かした略語というのは、一例を挙げると、私の場合、「あ」と打って変換すると「あります」に、「あけ」で「ありますけれども、」となります。
 なお、現在では、ワープロよりもパソコンで反訳する人がふえているようです。
裁判所では、ソクタイプという器械によって速記し、それを反訳していましたが、最近では、ステンチュラというコンピュータ内蔵型の速記用タイプライターが出現し、やっと最高裁より裁判での持ち込みが許可されたようです。
  また、ボランティアとして、速記符号の入力する人、それを漢字かな交じり文に変換する人の2人1組で、話された言葉をその場で表示し、聴覚障害者等に供されています。
 裁判所の速記官養成がストップされているものの、いろいろな取り組みや運動をされて頑張っています。
 速記にはアマチュア速記とプロ速記があり、プロ速記はそれなりに速く原稿を仕上げる工夫をし、速記の形態も変わりつつありますが、紙とシャープさえあればいつでも記録できる手書き速記の有用性は不変です。

Q5 速記とワープロ速記[2]
 私は速記に興味ある者で、速記の仕事をしてみたいと思っております。
 昔、少しやっていたのですが、マイペースな性格のせいか、なかなか速度があがらず、挫折してしまいました。しかしいまだに未練が残っていて、何か速記関係の仕事をしてみたいと探していたところ、「ワープロ速記」という言葉を見つけたのです。いろいろ調べてみたものの、内容がよく分からないのでお聞きした次第です。
 私はパソコン検定など、パソコンに関する資格の1級を幾つか持っているのですが、キーを早く打てるなら「ワープロ速記」をできるのでしょうか? とても興味があるので、ぜひ速記に関わる仕事をしてみたいです。

A5 速記とワープロ速記[2](ユー)
 「ワープロ速記」について詳しく知らないので申し訳ないのですが、この言葉は、速記をした後、ワープロによる反訳段階で、略語登録によって高速入力することから出てきたのじゃないかと思うのです。それが現在では、録音テープを聞いて原稿作成をする「テープ起こし」などで使われたりしているようですね。要するに、「ワープロ速記」と「速記」という言葉が入っているものの、「速記をしないで、じかに原稿打ちする」方法と言えるでしょうか。もちろん、速記をして反訳段階でいわゆるワープロ速記ということをしている人もいますが――私も、高速とはいえないものの、独自にたくさんの略語を登録している――その人たちは「ワープロ速記している」という感覚は持っていないと思います。
 速記とワープロ速記、共通する部分もありますが、別の見方をすれば全く違う分野とも言えますね。
 ということで、回答にならなかったかもしれませんが、私自身ワープロ速記を学んだわけではないので、○○さんがワープロ速記ができるかどうか、わかりません。でも、何でも意欲と根気があればやり遂げられるでしょう。また、仕事というのは、興味のある職種、それに自分の特技を存分に生かせる職種が一番です。
 速記の方ですが、人の倍以上練習しないと人並みにならない私でさえも、強い願望と忍耐?によって遅まきながらも速記検定試験において文部大臣賞(今の文部科学大臣賞)をいただいています。決して自慢しているわけではなく、「継続は力なり」ということを言いたいのです。
 失礼な回答になってしまったかもしれませんが、ご勘弁ください。

A5 速記とワープロ速記[2](速記道楽)
 「ワープロ速記法」については参議院記録部で速記者をされていた坂本正剛さんが、昭和59年3月20日にビジネス・オームから本が発行をされております。内容的には、速記法の体系を単語登録をしたものです。速記法則を応用した、単語登録を行っております。ユーさんが書かれているようにワープロの「高速入力」と同じものです。
 また昭和62年にグループak4mがオーエス出版社から「ビジネスマンのワープロ楽打法」が発行をされております。
 いずれにしても、速記反訳時におけるワープロの「高速入力法」の本です。
 速記者にとって、いかに反訳作業を行うかについて書かれておりますので、速記関係者以外でも単語登録については参考になると思います。
 これらは、速記研究の副産物であり、手前みそになるかもしれませんが速記関係者が作成をしたものは優れております。
 機械速記の方は、ソクタイプをパソコンにつないだ「はやとくん」「ステンチュラ」、早稲田速記の柴田邦博さんが平成3年に開発をした「ステノワード」、現在では「スピードワープロ」と言われているもので、直接、発言をそのまま機械で入力をしていくのが「機械速記」と言われているものです。いずれにしても速記文字と同様に略語があります。手書き速記を覚えるか機械速記を覚えるかは、使用目的によって異なると言ってもよいでしょう。
 いずれにしても、こけた場合のことを考えれば、手書き速記の方が金がかかりません。機械速記の場合は機械自体が高いのでいかがなものでしょうか。
 第一次反訳の段階では、1時間の記録は1時間で入力ができますが、最終原稿の場合ではどうでしょうかね。目先のことだけにとらわれていることよりもこけたことも考えておく必要があるように思います。
 「機械速記」、「手書き速記」という言葉は、中根式速記協会機関誌「速記時代」の昭和32年6月号に川崎明さんが「速記の進歩のために」という原稿で「手書き速記と機械速記」について書かれております。その当時の「機械速記」はもちろんソクタイプのことです。
 ご参考までに「録記」は「録音速記」の略称です。昭和32年4月20日発行の荒浪清彦著に「録音テープを聞きながら速記をして反訳をする」ことが書かれておりますが、いつの時代にか「録音記録」になってしまいました。つまり「テープ起こし」とか「テープリライト」、「テープライター」とか言われているものです。これは「速記」における反訳作業の一部分にすぎません。

A5 速記とワープロ速記[2](ユー)
 私も、その「ワープロ速記法」と「ワープロ楽打法」なる本をパラパラとめくってみました。ワープロ華やかなりしころのものですね。プロ速記者ならば、高速入力できるよう、だれもが速記法を応用して単語登録している方法です。
 ○○さん、ワープロ速記(高速入力)だけでなく、速記もできるといろんな面で非常に役立ちますけど。
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Q6 普通文字での筆記速度
 私は、高校生です。今日、塾にあったパンフレットで「速記」というものを知りました。
 私は、人が話した言葉をすらすら書くのが得意で、学校の先生が授業で言った話を一番にノートに写せるくらいです。普通の「朗読」を聞いて、1回で全部書けるほどです。習字習っていたのでくずし字もできますし、関係ないですが、漢検2級も持ってます。でも、速記のあの特殊な文字は全くできません……。とにかく、普通に「書くのが早い」ことだけ誇れます。
 こんな私は、速記検定の何級くらいでしょうか? 自分では5級か4級かなあと思っています。
 [H15.1]

A6 普通文字での筆記速度(ユー)
 相談ということですが、○○さんは非常にすぐれた才能を持っているのですね。速く書けるということは、広義の意味での速記とも言えますよ。速記っていうのは、簡単に言えば速く書き取ってそれを読み取れればよいのですから。
 さて、速度です。
 大抵の人は、速記検定試験で言うと6級(分速80字×5分)は普通文字でも書けます。
 サンハートで第143回速記技能検定試験の分試験を実施し、まだ速記文字で分速80字を書けない人には普通文字で挑戦してもらったのですが、その人たちの反応はよかったです。でも、5級(分速120字×5分)となると、速記文字を使わないと無理じゃないかな。
 ○○さんは人一倍速く書けるということですから、5級を書ける可能性、大ですね。
 ちなみに、私も試しにある問題文を5級の速度で書いてみたのですが、分速250字あたりでお手上げでした。250字というと約2分目あたりです。5分というのは結構長く、しんどいものです。人の話というのは息継ぎする間(マ)というものがあり、そこで追いついたりもできるけど、検定試験は同じ速度で5分間ですからね。
 4級は分速180字ですから、かなりしんどいと思いますよ。書き取ることができるかどうか、一度試されてはどうでしょうか。
 方法は、
(1)私のホームページの「常用語集」にある検定問題をプリントアウトしてください。
(2)その問題に、音数計算ではなく、漢字も平仮名も片仮名も1字は1字と計算して、分速180字ですから、30字目に15秒、90字目に30秒、120字目に45秒、180字目に1分の印を入れてください。5分間分、同様にします。
(3)それをだれかに読んでもらってください。もし読んでくれる人がいないようなら、自分で録音するとよいでしょう。それを書き取るのです。
 4級が書ければ同じように字数を上げて試してみて自分の速度をつかんでください。
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Q7 速記者の人数/年収/就業時間
 学校の課題で速記者について調べているので、教えてください。
 速記者は全国に何人いるのでしょうか?
 また、年収はどのくらいでしょうか?
 速記者の就業時間はどのくらいなのでしょうか?
 [H15.2]

A7 速記者の人数/年収/就業時間(道楽おやじ)
 「速記者の仕事について」ですが、速記者と一口に言っても、国会(衆議院式、参議院式)の速記者、都道府県の速記者、市町村の速記者がおります。議会関係の速記者は、国家公務員及び地方公務員です。最近では市町村議会の速記者が減少をしております。市議会の中には速記者が1人もいないところが多くなり、テープで録音をしたものを民間の速記事務所に外部委託をしているという状況です。
 まず、議会速記者は公務員と言っても、本会議や委員会などが行われると就業時間に関係なく、場合によっては深夜まで本会議や委員会が行われることがあります。議会で本会議や委員会がない場合は、定時で終わるかどうかわかりませんね。
 民間の場合は、就業時間があってないようなものです。とにかく依頼先の原稿提出日によっては納期が短いこともありますし、徹夜をして原稿を作成しなければなりませんので、仕事としてはかなりきついのではないでしょうか。
 特に民間速記事務所に勤務している速記者や、個人で速記者をやっている人の年収は、一概には言えませんね。年収の多い人もおりますし、少ない人もおります。ですから、民間速記者や個人の場合は、年収が安定をしているわけではありません。
 速記者になるのなら公務員の方が年収が安定をしていることは言うまでもありませんが、年収も各都道府県議会や各市議会によって異なっております。
 速記者の人数も東京都近郊が多いことは確かですが、民間速記事務所の数なども把握ができておりません。
 速記界には、文化団体としての「社団法人日本速記協会」、職業団体として主要地域には県単位で「○○速記士会」があります。「○○速記士会」の上部団体として「全国速記士団体連合会」というものがあります。
 速記者の中には「社団法人日本速記協会」及び「○○速記士会」の会員になっていない人が多いので、全国に速記者が何人いるかわからないような状態です。
 これは、私の個人的な意見ですが「社団法人日本速記協会」及び「○○速記士会」に入会している人は、我が国の速記界では一部分の人たちです。実際は2倍から3倍はいるのではないかと推測ができます。
 ご参考までに今から20年前(昭和58年1月31日)に日本速記百年記念会から発行をされた「日本速記者名鑑」には6,270名の速記関係者の名前が掲載をされています。私が知っているだけでも「日本速記者名鑑」に漏れている人がかなりおりました。
 平成14年10月28日に日本速記百二十年記念会から社団法人日本速記協会「会員名簿」が発行されましたが、1,000人弱です。この名簿はあくまでも「社団法人日本速記協会」に入会をしている速記者の名簿です。
 ○○さんのお答えになっているかどうかわかりませんが、これが速記者の実態です。
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