【H15.2】
Q1 原文帳のめくり方/原文帳の使い方/テープ練習の仕方
Q2 練習教材文章/シャープ
Q3 間違えて覚えていた速記文字
Q4 句読点の採点基準
Q5 検定試験での採点基準

【H15.3】
Q6 聞きだめ
Q7 30分の範囲内での練習方法

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Q1 原文帳のめくり方/原文帳の使い方/テープ練習の仕方
 まとめて幾つかの質問をさせていただきたいと思います。
(1)国会中継などを見ていますと、速記者の方たちは実にすばやく原文帳をめくっておられますね。新しいページをめくると、左手はすぐに次のページをめくれるように準備していますが、手が乾いていてうまくめくれないようなことはないのでしょうか?
 指サックをしている人も見かけませんし、指をなめるようなことをしている人もいないようです。何らかの対策を講じているのでしょうか? それともコツがあるのでしょうか?
(2)普段、練習には書道半紙を使っています。しかし、OA機器の普及に伴い、A4版にプリントされた紙のほごがたくさん出ますので、これの裏面を練習に利用したいと思います。その場合、これは縦に使うべきでしょうか? それとも横の方がいいでしょうか?
(3)テープに録音された朗読文を聞いて練習する場合に、「抜けそうになっても、また抜けてしまっても朗読が終わるまでは途中でテープを止めずに最後まで書き続けなさい」という指示どおりにはなかなか実行できません。符号は乱れに乱れてしまい、こんな我慢をしていても決して上達のための練習になんかならないというふうに思ってしまいます。どういったように対処したらいいのでしょうか。
 [H15.2]

A1 原文帳のめくり方/原文帳の使い方/テープ練習の仕方(道楽おやじ)
(1)の原文帳のめくり方ですが、なれてくれば自然に左手で速くめくれるようになります。私の指は脂性ですので、指サックを使用したことはありませんね。
 100円ショップなどで、伝票をめくったりするのに、指が滑らないように「メクール」とかなんとかいう、指につけるのが売っておりますけど。
(2)のコピー用紙ですが、私の場合は気分で縦長にしたり、横長にしておりますが、練習には横長の方が使いやすいのではないでしょうか。私はA4版は余り使いません。ほとんどB5版を使っております。
(3)テープの練習では、テープを止めない方がよいでしょうね。完全に書こうとするから、テープを止めるんでしょうね。無理をして書いていて、速記文字が乱れるよりも、単語を抜かしてしまった方がミスが少ないと思います。途中から速記文字が乱れてミスを多く出すよりも、瞬間的に抜かしてすぐに体勢を整えてミスを少なく押さえることが必要です。抜かした部分は瞬間的に○でも何か目印を付けておくか、少し空白をあけておいた方がよいでしょう。
 完璧に書きたい気持ちはよくわかりますが、検定試験では朗読が始まったら「待った」とは言えませんよ。

A1 原文帳のめくり方/原文帳の使い方/テープ練習の仕方(ユー)
(1)左手は、「手が乾いてうまくめくれない」ことのないように、新しいページをめくった途端に原文帳の左下端を持つようにしているのです。学習者は、つい速記文字に気をとられて左手がおろそかになりがちですね。そういう私も、ときどき慌てて紙をめくるとき音を立ててしまいますが。
 指サックは指を締めつけられるし、メクールもべたべたして気持ちが悪いので、私は使っていません。
  なお、原文帳全体、左下端を軽く内側に折ると紙がバラバラになってめくりやすくなるので、書き始める前にそんな工夫をしている人もいます。
(2)私も、練習にはミスプリント用紙(A4版)を使っています。紙が大きいので、速記文字も大きく伸び伸びと書けて気持ちがいいですね。使うときは、やはり横です。
(3)テープ練習では、できるだけあきらめずに最後まで書くことが大切です。ねばりの練習にもなりますから。
 でも、余りにも抜ける場合は逆効果にもなります。速度を上げようとして無理に、検定試験で言う1級上の速度練習をしていませんか。そんなにすぐに40字、60字アップした速度で書くことができませんので、そんな場合、その中間の速度で練習してみてください。
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Q2 練習教材文章/シャープ
 さらに、質問を続けさせていただきます。
(4)速記を練習する場合、教材にする文章はどんなものが適しているのでしょうか?
検定試験問題の過去問以外で適当なものを見つけようとしておりますが、なかなか自分のレベルにあったものが見当たりません。官報やインターネットに掲載されている国会の会議録はちょっと難しすぎます。手ごろな書籍がありましたら紹介してください。
(5)筆記具のことをお尋ねします。私は、ボールペンよりもシャープペンシルや鉛筆が好きですが、シャープは芯の繰り出しがうまく出来ません。特に、ぎりぎりの速度で練習している時などは、ノックする余裕などありません。あれは、やはり左手で操作するのでしょうか? やり方を教えてください。
 [H15.2]

A2 練習教材文章/シャープ(道楽おやじ)
(4)検定試験以外の練習問題ですか。昔は官報が速記の朗読教材としては「定番」でしたね。新聞の社説は書きにくいかもしれませんが、内容的にはよいと思います。文体を「あります体」に変えたらどうでしょうか。検定試験問題の問題文も砕けた文体「あるんです、あったんです、なきゃなんない」と変えて使う方法もあります。
(5)シャープについては、昔は回転式の「速記用」のものがありましたが、右手で器用に回していたと思います。私は1.0ミリのボールペンを使用しております。ノック式では、右手で押すことができますかね。左手で押すんじゃないでしょうか。見栄えはよくありませんが、瞬間的に胸に押してやる方法もありますが、余りお勧めできませんね。
 最近はシャープで振れば、芯が出てくるものもありますが……。何年か前に郵便局でもらいましたけど……。10分間の練習では芯を出すのは2〜3回程度だと思いますが……。
 私は30年ぐらい前からボールペンを使用しておりますが、他の人はどうしているんでしょうね。

A2 練習教材文章/シャープ(ユー)
(4)検定試験に挑戦されるのなら、やはり過去の検定試験問題で練習するのが一番でしょう。検定試験問題集は日本速記協会で頒布しています。
 でも、練習では、検定試験問題のような題材でなくても、例えば「ある調」の文章でも構いません。このような文章が書ければ、検定試験問題のような「ます調」は楽に書けるようになりますよ。道楽おやじさんも推奨しているように、毎日練習するのに新聞の社説・論説などがいいですね。
 ところで、「です・ます調」の書籍は少ないですね。月刊誌「PHP」にそんな文体もあったように思いますが。
(5)昔、私も道楽おやじさんが言っている「速記用シャープ」を使っていましたが、芯出しが不便で、その後、芯出し不要のボールペンに変えたことがあります。でも、その後、原文帳の紙質を変えたこともあって、再びシャープペンに変えました。
 そして今使っているのは、「コクヨ」の「シャープペンシル〈ミストラル〉PS=M100D」です。ボディノック式といって、シャープの本体をポキポキ折るごとに芯が出てきます。原文帳から少しシャープを上げたときにノックするだけですから、左手を使うことはありません。なれると非常に便利ですよ。
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Q3 間違えて覚えていた速記文字
 さらに、質問を続けさせていただきます。
(6)例えば、「○○○○○」という語句に「A」という略符号をいつも使っていたとします。
 ところが、ある時、たまたまテキストを開いてみたところ、「○○○○○」には「B」という略符号が割り当てられていることを発見しました。従来使っていた「A」は別の語句「△△△△△」が本来の符号であることが分かったのです。ずうっと、符号を間違えて覚えていたことに気づきました。
 使用する符号を正しく修正すべきでしょうか?
 また、自分の好みや都合で、こういった符号の入れ替えを意識的にしてもかまわないでしょうか?
 [H15.2]

A3 間違えて覚えていた速記文字(道楽おやじ)
 早稲田式の通信講座を受講している方と仮定して、お答えをいたします。
 現在、通信の添削指導を受けられているか、いないか、あるいは速度的にどの程度の練習をされているのかで答え方が変わりますが、基本的にはテキストに書かれている速記文字で覚えた方がよいと思いますよ。
 速習コースでは3級程度、全科コースでは1級程度が書ける速記法体系を学習します。なるべくなら、自己流に走らず、テキストどおりの速記文字で速度練習をすることをお勧めします。
自分の好みで速記文字の入れかえをしたら、速度が伸びなくなることだけは、私の経験で自信を持って保証をしますよ。
 そのかわり、速記について深く知ることはできますが、速記文字を優先するか、速度を犠牲にするかということです。速度を犠牲にしたら、その代償だけは大きいことは確実です。

A3 間違えて覚えていた速記文字(ユー)
 間違って覚えることはよくあります。また、指導する人が違うと、ある1つの速記文字が複数に読めるといったことも起きてきます。
 問題は、文章練習をしていて、前後の関係からしてもどちらか判断がつかないときです。その場合、どちらかを変えなければなりません。
 もし、どんなときでも前後の関係から判断がつくようなら、またその書き方の方が書きやすいなら、私は無理に変える必要はないと思います。省略文字をどんどん覚えていくと、1つの速記文字が複数に読めることが起こってきますよね。とにかく、自分で読み分けができるかどうかがキーポイントなのです。
 また、自分の速記文字に自信があれば、どんどん自分流の文字を使っていってもよいでしょう。私も、つくっていますよ。速記は、学ぶ楽しみもありますが、つくる楽しみもあるのです。
ですから、結論を言えば、「自分の好みや都合で、こういった符号の入れ替えを意識的にしても」構いません。したがって、置きかえてもよいでしょう。ただ、あくまでも他と読み間違うことがないというのが前提ですよ。
 要は、自分の書いた速記文字がちゃんと読めればよいのです。
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Q4 句読点の採点基準
ちょっと間があいてしまいましたが、質問を続けさせていただきます。
(7)速記技能検定試験の答案で、読点「、」を打つべきところを句点「。」で書いてしまった場合は、やはり減点の対象になるのでしょうか?
 例えば、「昭和の初めに日本人が経験いたしました戦争への道、そういう歴史をもう一度振り返ってみようということで、多くの人が話し合ったのであります」。私は、この文章をテープを聞いて原稿用紙に反訳した際に、「昭和の初めに日本人が経験いたしました戦争への道。そういう歴史を……」と句点を書きました。やはり、こういった場合も1点減点でしょうか?
 そしてまた、句点を打つべき所を読点にしてしまったり、句点を書かなかった場合などの採点基準はどうなっているのでしょうか?
 [H15.2]

A4 句読点の採点基準(ユー)
 結論から言えば、句読点は減点の対象にはなりません。
句読点、改行は反訳者によってかなり変わってきますし、検定試験問題の答案はその1つのモデルケースとも言えます。
 その上、○○さんのおっしゃる例文では、前の文章がどのようにつながっているのかわかりませんが、「。」にしたところで致命的とは言えません。この場合、「、」「。」「――」の3つの方法が考えられます。しかし、ベターなのはやはり「、」です。
 なお、句読点・改行については、検定試験実施規則に「句読点・改行の全然ないものは選考対象にしない」とありますので、成績が優秀で賞の対象となるときは採点基準になります。
 また用字についても、日本速記協会発行の「標準用字用例辞典」にのっとって採点されますが、社会的慣用のあるものや字体の新旧については失点となりません。(私のHPの「速記技能検定試験要領」を参照してください)
 普段から文章を書く練習(反訳)をし、正解の問題文があれば確認しておくとよいですね。
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Q5 検定試験での採点基準
 続けて速記技能検定での反訳文についてお尋ねします。
(8)漢字を間違えて書いた場合は当然減点の対象となると思います。例えば、「率直」を「卒直」と書いたら1点減点ですよね。これを、「そっ直」と書いた場合の採点はどうなりますか?
 また、「そっちょく」とひらがなで書いた場合は、どう採点されるのでしょうか?
 「漢字で書かなければ減点」といった用字の採点基準はあるのでしょうか。
 [H15.2]

A5 検定試験での採点基準(ユー)
 そうですね。漢字を間違えたときは、間違えた字数だけ失点(減点)となります。
 それでは、普通漢字で書く言葉を平仮名で書いたときのことです。
用字の採点基準は、私のHPの「速記技能検定試験要領」にも掲載していますが、速記技能検定試験実施規則によると「送り仮名の送り方、仮名、漢字いずれにも書く社会的慣用のあるもの及び字体の新旧については失点としない」とあります。この「いずれにも書く社会的慣用のあるもの」というのがクセモノですね。
 「率直」というのは普通平仮名では書かないでしょうから、失点となる可能性が高いと思います。失点だとすると、失点数の数え方は、「そっちょく」と書いていれば5失点というわけではなく、正解の「率直」という漢字の失点数、すなわち2失点となります。
 逆に、平仮名書きすべき言葉を漢字で書いたとき、漢字が合っていれば失点とはなりません。ただ、漢字が間違っていれば、正解となる平仮名の音数の失点となりますのでご注意ください。
 なお、下級クラスについては、その辺、大目に見てくれているようにも思います。
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Q6 聞きだめ
 質問を続けさせていただきます。
(12)以前に、神奈川県議会を傍聴したことがありました。非常に立派な会議場でした。傍聴席が2階席にあって、議員さんたちを俯瞰(フカン)するような形になります。速記者の姿は見えるのですが、あまりにも遠すぎて、手元がよく見えないのが残念でした。
 速記者の2人をしばらく凝視していて分かったことは、
a)20分交替で書いていること。(休憩している方の人が速記中の人に、1枚の紙を渡して交替の合図をしているように見えました)
b)交替すると、書き終わったページを三角形に折ってしるしを付けていること。(折った紙がピンと立っていたので、使用しているのは洋紙だと思います)
c)1頁に何行書いているのかを見ておりましたら、平均して6行ほどだったこと。
d)ひとりの発言が終ってもしばらく手を動かしていること。
 最後の(d)が非常に気になりました。
 早口の人の発言に追いつかず速記が遅れているのかと思っていたら、ゆっくり発言している人の場合でも、手の動きが止まるまでに何テンポか間があることに気付きました。「あ〜、聞き溜めをして書いているんだな」とその時に思いました。
 この「聞き溜める」というテクニックは、速記をする上で不可欠なものでしょうか?
 書きなれない言葉が出てきた場合は基礎符号を使うしかないので、こういう場合はどうしても、遅れぎみ書くことになりますが、聞き溜めが出来ればあせらずに対応できるように思います。
・この聞き溜めにはコツや練習方法があるのでしょうか?
・それは低級者でも練習する必要があるでしょうか?
 [H15.3]

A6 聞きだめ(ユー)
 議場での速記体制は、その議会によって違います。
a)速記者数が多ければ途中で交代できますが、複数人数がいれば休憩ごと、また1人だと1日じゅうということになります。
c)原文帳に何行書くかは速記方式にもよります。早稲田式では、基本文字段階では3行程度が適当なのですが、省略文字をたくさん使うようになると速記文字自体が自然と小さくなりますし、さらに実務になると小さく書くようにもなりますので6行ということもあり得ます。
d)さて、お尋ねの聞きだめです。
 聞きだめは、速記を学ばれている方なら、既にきっと知らず知らずのうちにやられていることと思います。
 例えば、早稲田式を例に挙げれば、「ありまして」という言葉を省略文字で書こうとすると、「て」まで発音されないと「ありまして」と書けません。「ありました」である可能性もありますから。また初級者にしても、円の回し方、角度等の運筆を例にとるとよくおわかりだと思いますが、次の音によってその前の文字が形を変わることがありますので、発音されると同時に書くことはできません。聞きだめは、これがさらに広がった方法と言えます。
 ですから、初級・上級にかかわらず、聞きだめというのは非常に大切です。
 聞きだめのコツですが、話された直後に小さい声で口に出して、あるいは頭の中で復唱すればよいでしょう。
 練習方法は、速記文字を書かずに、テープを聞いて訓練してみてはどうでしょうか。
 聞きだめは焦りを解消することにもなりますが、反面、焦りを助長することにもなります。また、余り聞きだめをし過ぎると、速度に追いつかなくなったきいにどっと抜けることにもなりますので、注意が必要です。

A6 聞きだめ(道楽おやじ)
 「ため書き」とも言いますが、中根式関係では「ため書き」については、うるさくは言いませんね。速記学校時代には、先生から「ため書き」をするように指導を受けましたが、結局、できませんでしたね。
 私の場合は、速記文字を書くのが早かったので、分速240字でも、分速360字でも、ほとんど同時に書き終わっておりました。時間のずれは2〜3秒ぐらいでしょうか。
 「ため書き」を行ったら、逆に抜けてしまいました。「ため書き」は、必要なことですが、私が所属する支部の参議院式の速記者に聞いても、「ため書き」をしていないということでした。
 私は「ため書き」に対して、「瞬間書き」と言っておりますが、両方とも長所と欠点があります。
「ため書き」の場合は、速記文字をきれいに書けますし、ある程度の高速度のものを書けますが、下手をすれば抜かしてしまいます。
 「瞬間書き」の場合は、速記文字をある程度崩しておりますが、知らない言葉に対しては書けない、ということがあります。ですから、速度練習もさることながら、言葉に対してもふだんから速記文字を書く練習をしていなければなりません。
 これは個人の「性格」が大きいと思います。ねばり強いか、せっかちか、ということもあるようです。速記を書く場合には「性格」が出るようです。
 ですから、速度の出ている速記文字(動態符号)はかなり崩して書きますし、テキスト用の速記文字(静態符号)は崩しませんので、実際の差は大きいんです。これが、同一人物の「速記文字」かとも思えるものを書いております。
 私は、手先が不器用な割には、若いときから速記文字を書くのが早いんです。そのかわり国字を書く速度は遅いんです。
私の場合は、速記文字も大きめに書きますので「原文帳」の使い方は、4行から5行が標準です。6行を書くことはほとんどありません。速記文字を小さく書いたり、行数をふやすと、うっかりしていると反訳で1行を見落とすこともあります。
 私は「原文帳」をめくるのも早い方でしたね。
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Q7 30分の範囲内での練習方法
 今回は、練習メニューについて質問させていただきます。
 もし、毎日の速記の練習にあてられる時間が30分しかないとしたら、どういったメニュー内容を組んだらいいでしょうか? この場合、4級受験レベルと3級受験レベルではメニュー内容は違ってくると思いますが、それぞれで教えてください。
 [H15.3]

A7 30分の範囲内での練習方法(タッチ)
 何級であれ、速度練習と反訳練習は必須で、反訳する時間がなければ少なくとも「読み返す」練習は必要でしょう。速記は総合力ですからね。
 30分ではちょっときついかな。私だったら精神を集中して「きれいに丁寧に速記する」練習をメインに、3回に1回は反訳または読み返しをやるかも。人によって得手不得手が違いますし、練習法云々よりメンタル面の方が大事かもしれません。

A7 30分の範囲内での練習方法(ユー)
 30分の中での練習メニュー、しかも4級と3級受験レベルのメニューということ、難しい質問ですね。
 基本的に、4級と3級の練習法は同じでよいと思います。「4級に合格したので、さあ明日から3級受験の練習法に変えよう」と思われる人、そして実際に練習方法を変える人がいるでしょうか? 私が学んだ速記学校では、全く同じ練習法でした。
 私は、6・5級は初級、4・3級は中級、2・1級は上級ということで考えており、初級と中級・上級の練習メニューは必然的に異なってきますが、中級以上なら、文章練習には慣れているでしょうし、またある程度の省略文字を使っているでしょうから、やはり書き込み中心の練習になると思います。
 でも、ふだん書き慣れていない言葉が出てきた場合、シャープがとまって抜けてしまうようなら、初心に戻り、単音・単語練習も取り入れたいですね。
 また、省略文字の取り入れについては、練習時間がたっぷり取れるなら、テキストなどに沿って順番に覚えていくことができますが、時間がない場合は、文章練習中に出てきた書きにくい言葉から取り入れていってはどうでしょう。これまた速記学校では、そういう方法で教わりました。
 それでは、書き込み練習について。
 速記文字がすぐに出てこないことはないが速度に追いつかないという人は、ある単群を書いては原文帳からシャープを離し、また次の単群を書くという書き方をしているのではないでしょうか。速く書くには、同じ調子でよどみなくシャープを走らせるという書き方が必要です。そういう点から、暗書の練習をされてはどうでしょうか。暗書というのは、自分に合った速度で書けますから、シャープをとめることなく書くことができます。というか、暗書の練習のコツはそういう書き方なのです。
 また、自分のペースに合わせた練習ばかりでなく、朗読者に合わせた速度練習、すなわちテープ練習も並行してやるとよいでしょう。
 最後に、中級者であるなら、文章練習で、わざと速記文字を崩して書く練習もされるとよいですね。 結論を言えば、(1)簡単なウオーミングアップ (2)暗書 (3)テープ練習 (4)省略文字の取り入れ といった方法はどうでしょうか。30分という中での時間配分は、各自で調整してください。そして、4級と3級の練習方は同じということで。

A7 30分の範囲内での練習方法(道楽おやじ)
 「タッチ」さんや「ユー」さんが、書かれておりますので、補足として書かせていただきます。
 速記の練習は、シャープで原文帳に書くだけではありません。
 速度練習の「補助」として、通勤電車の中でウォークマンを使って速度練習をする方法もあります。頭の中で速記文字化したり、指先で練習をする方法です。
 伝え聞くところによりますと、石村善左さんは、戦時中に満員の通勤電車の中で「官報」を読みながら速記文字化をしたということを著書に書かれております。まだテープのなかった時代ですね。
 また「南国の道楽おやじ」さんは、通勤中に往復4時間を運転しながら分速400字の練習をしていたと、伝えられております。まさか運転中にシャープで原文帳に書いたとは思えませんが……。
 通勤電車の中では、新聞を読みながら速記文字化する方法もあります。時事用語の勉強にもなります。夢中になって降りる駅を乗り過ごしされないようにご注意ください。
 でも、30分も練習をする時間があるのはうらやましいですね。
 曜日を変えて、練習メニューを組み立てる方法もあります。
 月、水、金は速度練習のみ、火、木は10分書いて反読(読み返し)練習。土曜日か日曜日は10分書いて反訳練習をされてみてはいかがですか。
 速記の練習方法はいろいろとありますが、ご自分の生活環境に合わせた方法を選択されてはいかがでしょうか。
 私は速記学校時代に先生から「1日に10分でもいいから、練習をするように」と指導をされました。
 1週間まとめて、何時間も練習をするよりも、毎日少しずつでも練習をすることの方が「学習効果」があると思います。
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